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ピアスを買いに。2 [追想]

この記事の続き。



ダイヤモンドは永遠に、とは有名なキャッチコピーだけど、気持ちが永遠でないことはもうよくよくわかっていました。愛しているという気持ちだって、毎日同じままであることはできない。けれども、ある瞬間に誰かのことを本当に愛していたという真実は、気持ちが変わり果ててしまっても永遠に変えることができないのだと思います。

宝石には興味があまりなくて、ほしいと思ったこともないのですが、くろすけにダイヤのピアスを買ってもらいたかったのです。どうしても。ひとつの象徴として。

「ダイヤのピアスを買って」

そういったわたしにくろすけは

「うん。わかった」

と答えました。

「2月にしのが日本に来たら一緒に買おう」
「うん。高いのね。うーんと高いの。ずうっとつけてるから」
「うん。あのさ・・・」
「なあに?」
「相場はどれくらいなの?」
「知らない・・・」
「うーん・・・」
「軟骨につけるからすごく小さいのでいいから1000円くらいからあると思うよ」
「200万円以上もあると思う?」
「ありえんから」
「最高でどのくらいだと思う?」
「一万円くらいで・・・」
「そっか・・・」(脱力中)
「え・・・どれくらいだと・・・?」
「1000万円くらい。30年ローンは組めるかなって・・・」

「それでさ、どこで買うの?」
「くろすけ、東京のお店知らんの?」
「・・・」
「・・・えっと・・・てぃ、てぃふぁにー?」
「どこにあるの?」
「ぎ、ぎんざ???」
「銀座にあるの? ・・・っていうか、しのって東京って銀座しか知らないでしょ」
「いや・・銀座も上野楽器店しか知らんから・・・。くろすけのお母さんは知らないかな?」
「しののいとこのほうが知ってそうだけど・・・」

映画「ティファニーで朝食を」で誰でも名前を知っているティファニー宝飾店。そこの名前しか出てこないわたしと、30年ローンを組むことを考えていたくろすけ。

そして、ティファニー宝飾店で待っていたものは・・・。

最終回に続く・・・。


余談
くろすけはピアスを買うために年末の休みを利用してアルバイトをしました。自分の体を使って稼いだお金で買いたいからって。とてもうれしかったです。恋人にアルバイトさせて贅沢なものをねだって買ってもらう、なんて最低最悪の女の見本みたいな行動です。誰かにものを買ってもらいたいと思ったのはこのときが初めてでした。そして、好きな人におねだりをして買ってもらえる、という幸福感を味わっていました。自分で買ってもよかったんだけど、どうしてもくろすけに買ってもらいたかったのです。くろすけに属するものを身につけたかったんです。

結局ティファニーしかわからない二人は、ティファニーのHPを見て一応ほしいものを決めたのでした。くろすけがこれがいいのでは、と選んでくれたものはわたしが思っていた通りのデザインでとてもうれしかったのを覚えています。



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コメント 6

くろすけ

慣れないことをしようとしてお笑い路線にひた走るふたり・・。涙

このときは奨学金で生活してたから、高・大と勤労学生だった僕としては、他人の金で生活してる感が強くてねー。給料っていう形で得たお金じゃないと自分で買ったっていう気になれなくて。
結局、おせち料理と豆腐作ってたんだよね。豆腐工場は死ぬほど忙しくて24時間稼動してて、日本人豆腐食いすぎーって思った・・。

バイトするっていったら、勉強の邪魔になるからそれならいらないって喧嘩になったりとかもしたよね。婚約指輪のつもりでいるからちゃんとしたの買いたいんだっていったら、しのも同じことを考えていて、うれしい・・vって急にらぶらぶモードになったりとか。今思い出すと単なる惚気だけど、当時は真剣だったなー。笑
by くろすけ (2007-08-13 09:51) 

adejyo

最初の記事に比べて、ガラリと空気が変わった今回の記事。
ステキです、しのさん&くろすけさん(ノ*゜▽゜*)

30年ローンの宝飾って・・・(;^_^A
ヴァンクリフ辺りだったら、あるかもしれませんねっ。

パートナーに属するものを身につけたいって気持ち凄く分かります。
うちの旦那はそういう気持ちを理解してくれないので、
是非この記事を読ませたいですっ(;-人-;)
by adejyo (2007-08-13 13:29) 

しの

> くろすけ

ほんっとわれわれ二人は駄目駄目だねえ…(しくりん)。ドリルとかさ~、ねじとかさ~、ダイヤモンドカッターとかさ~、タングステン鋼鑿とかなら、任せてちょんまげ(古)なのに。

奨学金生活がひとのお金で生活してるっていうのはわかる。わたしも奨学金で生活してたときはそうだったから。その後、自分で働いてそのお金で大学に行きなおしたときは楽しかった(笑)。

おせち料理とか豆腐作りはいろいろと裏話が聞けて楽しかった。野菜工場も行ってたじゃん。たまねぎで目がしょぼしょぼって言ってた。

あの頃は、わたしもくろすけも一番つらい時期だったなあってメッセンジャーのアーカイブを読み返しながら思ってた。その後もしばらくつらい時期が続くんだけど。でも、いつもピアスを触りながらくろすけへの気持ちだけは見失わないように、うまく操られてしまわないようにがんばったんだよなあ…。

まあ、ここに書いたこともそういう美しい話の裏に隠された涙なしでは語れない「悲劇」ってことで(涙)。
by しの (2007-08-14 04:18) 

しの

> adejyoさん

もうね、始まりはいつも愛、で美しい話なんですが。実行段階にいたっていきなり躓きよろける二人。

30年ローン…。くろすけがそう思っちゃった理由というのは、とある理由でわたしが一時期5カラットのダイヤそのほかのちょっと普通には手が出ないレベルの宝石類を管理してたことがあったんです。そのことがくろすけの頭にあったのではないかと(笑)。で、ヴァンクリフってなんですか、食べ物ですか?

パートナーに属するものを身につけて自分の体温でそれを暖めていたい、ってなんで男はわかんないのかなぁ。そうやって自分と相手が象徴的にでもいつも溶け合っていたいという乙女の心が。
by しの (2007-08-14 04:19) 

くろすけ

そういや野菜工場もやったね。おでん用の大根の皮むいたりしてたんだった。

30年ローン>
ダイヤモンドっていわれたら、ルパン3世が盗みに入るようなやつしか想像できなかったんだよう。^^;
しのも普通に何百万のダイヤとか時計とかネックレスとか持ってたしー。^^;;
by くろすけ (2007-08-14 10:08) 

しの

> くろすけ

ルパン三世・・・。そんなダイヤ、耳につけたら耳が千切れるやないかい。
by しの (2007-08-15 19:37) 

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