ひざまくら [触れる]
彼女と知り合ってはじめての週末に僕らは彼女の部屋でお酒を飲んだ。僕はうかれてバランタインを飲みすぎ、ぐでんぐでんに酔っぱらって彼女を押し倒して口説いた。結局その夜は押し倒して彼女にたくさんのあざを作ってしまっただけで(ごめんね;)それ以上の行為はできなかったんだけど。
押し倒しただけで重罪なんですがー・・・。
翌朝彼女の部屋のリビングで目を覚ましたときには僕は記憶の大部分を失っていた。
彼女が僕の様子を見に来て僕が寝ているソファベッドに腰を下ろした。
顔を上げると彼女のひざが目の前にある。
いまでも何故そうしたのかわからないけど、僕はごく自然にそのひざのうえに自分の頭を乗せていた。
それは素敵なひざまくらで僕だけの場所だってすぐにわかった。
それまで感じたことのないやすらぎがそこにはあった。
彼女の手が優しく僕の髪をそろえる。
僕は彼女がそこにいることを確かめるように彼女の輪郭をなぞる。
彼女はやわらかく僕を受け入れてくれる。
そのままソファの上で長い間抱き合った。
服を着たまま、彼女のやわらかな胸や張り詰めた乳首に触れたり、膣に浅く指をいれた。そこはすでに濡れて溢れていた。彼女はその間ときおり短く喘いで僕にしがみついていた。
そのときはふたりとも女性とつきあったことがなくて、お互いの気持ちもはっきりわからなくて、行為がそれ以上先へ進むことはなかった。(それ以上ってどうしたらいいかもわからなかったけど・・)。
いまでははじめから彼女のことが好きだったってはっきりわかるけど、その頃の僕は恋人と呼ぶべき相手(みんな男性でした)はいても好きという感情を感じたことがなくて、そのときの感情がどういうものなのかわからず、行為の意味もわからないままで彼女を傷つけてしまった。
それでもとにかく、そのときのひざまくらは彼女が特別だっていうことを僕に教えてくれた。
僕がはじめてひとを好きだって感じた瞬間だった。
そのときはその感情をどういえばいいかわからなかったけど・・。
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わからなかった。なんにも。
でもね、本当はあの朝、たたき出そうと思っていた。そして、できなかった。ひざの上のくろすけの顔を見て。安心しきって。たどりつくべき場所にたどりつき、いるべき場所を見つけた穏やかさがあった。
・・・それで、訂正。
くろすけ、いい? あれは、わたしのバランタイン。
↑ここの所有格に注目。
4分の3も飲んだ。ゆるせん・・・。
しの