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羊から秤 [オトナのどうぐ]

隣の谷に住んでいる友人は世界で一番小さい郵便局を運営しています。世界で一番小さい、なんていうと、もっと小さいところはでてきそうですが。

世界で一番散らかっている、というのはかなり自信があります。

友人はそこで羊も二頭飼っています。鶏と犬と猫も飼っています。・・・郵便局で羊を飼うのはちょっとあれかとも思いますが、ヤギじゃないからいいのかな。

その話を聞いたくろすけはうずうずといても立ってもいられず。そこでくろすけのご両親に日本酒のお礼にフォアグラそのほかを彼女の郵便局から送ることにして隣の谷の郵便局へ出かけました。ついでに羊も見せてもらうことにして。隣の谷への道はフィールドを抜けていて、途中で二箇所、ゲートを開けて車を通してゲートを閉めて・・・としつつ、がたがたとドライブをしていきました。

そして、友人の郵便局で小包を送る手続きをしているときに、小包の重さを量るのに彼女が使っているのがなんとも古い古い天秤だったのです。そこに小包を乗せ、反対側のお皿に重りを入れては重さを量っていきます。友人があーでもないこーでもない、と重さを量っているのを見ているくろすけの指がうずうずと動いています。いわゆる食指が動くってやつ。

羊を見せてもらい、郵便局の中やいろいろを見せてもらい帰ってきました。

くろすけはもう天秤に夢中です。

「面白かったねー、いいねー、あれ」

実は、わたしは秤(はかり)を持っていません。ひとつほしいなあと思っているところだったので、それならば隣の国のアンティークの卸で有名な町があるのでそこにまでひとつ天秤を買いに行くか、という話になりました。

実は、わたしは懐古趣味があり、昔から西部劇のなんでも屋で使っているような黒い鋳鉄でできていてお皿が真鍮の天秤がほしかったのです。


それで、買いに行く前にちょっとネットでどんなものがあるのかを検索してみたら。ネットオークションでたくさん売られているではありませんか。しかも、安い。アンティーク屋で買うよりも、アンティークの卸で買うよりも、やすい。


というわけで、早速、気に入ったものを入札することにしました。ついでに、天秤用の重りも入札します。

天秤用の重りのほうがオークションの締め切りが天秤よりもほんの少し早く来ました。誰もビッドしていませんから、安心していたら・・・。締め切りの5秒前にほんのちょっと高い金額でほかの人に落札されてしまいました! ショック!

というわけで、どうしても落としたい品物の場合、オークションの締め切りの直前に自分が出せる最高額を入札して落札するのが一番いいらしい、と気がつきました。払うのは上限額ではなくて、そのときに必要な落札価格です。


なので、大急ぎで天秤の方に上限額を入れてビッドしました。が、こちらのほうは競争相手もなく、静かに落札終わり。がっかり。

しかし、秤には実にいろいろなものがあるのですね。その中で、ドイツ製の郵便用の秤を見つけました。これがアールデコ風でとてもきれいです。素材が真鍮ではなくブリキなので、一般ウケしない感じです。が、アールデコファンやブリキファン(おもちゃなんかを集める)にも人気が出るかも知れない感じ。もちろん、郵便骨董ファンにも。デザインから言ってたぶん、1900年代初頭、遅くとも両大戦間の1920年代のものではないでしょうか。


・・・などとくろすけに薀蓄をたれているうちにほしくなってしまいました。しかしながら、すでに何人かがビッドを開始しています。結構な競り合いが起きています。そこで、締め切り直前に出してもいいと思われる最高額(アンティーク屋で買う値段を予想)で入札をすることにしました。


そしたら、同じことを考えていた人がいたんですねー。締め切り30秒前にほぼ同時にビッドをしました。そうしたら、わたしの上限額のほうが上だったんです。相手の人の値段はアンティーク屋で売るとして、いったいいくらが仕入れ値の上限かを想定した値段でした(だからわたしの額の4分の1だった)。


相手は必死で競ってくるんだけど、所詮、わたしの敵ではない(といって威張る)。楽勝で落札しました。

    


天秤です。日本円にして1200円ほどで落札をしました。メーカーはイングランドの某社。1950年代に生産を中止しているものです。あと50年ほどしたら正式にアンティークの仲間入りね。


古い天秤としては珍しく綺麗にバランスしています。実は古い天秤はほとんどのものがバランスが狂っていて飾りにはいいけれど実用性がないものが多いです。また、アンティークっぽく見えて実は新品で中国製・・・なんてこともあるので、メーカーとバランスは事前にちめちめ確かめます。

六角形の重りは天秤についてきたもの。メトリックスケールです。丸いまるでうんこのような重りは、わたしがうんこが好きだから買った・・・わけではないですよ。インペリアルスケールの重りは丸いようです。近所のリサイクルショップで300円でゲット。ケーキの分量はオンスで覚えているので、インペリアルスケールもいるなって。


 


        


そして、これが、わたしが競り勝ったドイツ製の郵便秤。3オンスまで量れます。上の台に封書を乗せると重さによって下の目盛りが開き重さがわかる仕組みです。開く様子も花が咲くようでとっても綺麗です。


・・・というわけで、くろすけとふたりでネットオークションを楽しんでしまいました。笑。


もちろん、天秤で重さを量って悪魔のチョコレートケーキも早速焼きました。


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