分岐点その3 -依存すること 1/2 [追想]
変かもしれないけど、くろすけがわたしと関係のない部分を持っていて、そこで楽しくしているのを見ると安心するの。ちょっとさみしいけど、でも、安心する。
なんとなく、わかるよ。しのが僕にとってのすべてだったら、それはそれで苦しいだろうと思う。お互いにね。だから僕は僕の世界を失くさないし、君も君の世界を大切にして欲しい。
だけど、どんなに楽しくしていても、ここにしのがいたらなあって考えているし、しのが呼べば、僕はいつでも君のものだから。
2005.10.9
しのと会う以前の僕の世界は自己完結していて、誰も必要としていなかったし、されることもないと思っていたし、その孤独はとっくに自分のものになっていて、とても自由だった。
しのと付き合い始めたはじめのころ、しのと一緒にいることは望むことができなかったから、僕がひとりでいることをしのがつらく思わないように、「ひとりでもだいじょうぶ」だと、何度もしのに言った。それまでも誰にも依存してこなかったから、しのがそばにいられなくても、しの以外のひとに依存なんかしない、そういうつもりだった。
だけど同時に、「ひとりでもだいじょうぶ」だと口にすることで、しののそばにいられない寂しさを誤魔化していたのだと思う。
それでも、はじめのうちはふたりでその誤魔化しを共有していた。