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そのとき、時が動き出した。 [オトナのどうぐ]


むかし、むかし、あるところにくろすけさんとしのさんがいました。




ある夜、くろすけさんは夜遅くまでおきていました。しのさんはベッドで白河夜船。ぱちぱちと勢いよく燃えていた薪も燃えつき始め、夜も更け行く頃、くろすけさんは仕事を放棄して、「不思議な少年」を読んでいました。




「あーあ。仕事をしてると時間ってたつのが遅いのに、漫画読んでると時間ってすぐに過ぎちゃうよな」




さて。くろすけさんは怖がりです。初めてしのさんと一緒にひとつき過ごしたあと、飛行機に乗って遠いお国に帰るしのさんに




「飛行機の中で読むといいよ」




と言って「八墓村」と「犬神家の一族」の漫画をあげました。飛行機から降りたら捨てていいから、と。事実はこの怖い話が自分の部屋の中にあると思うだけでくろすけさんは夜に怖くて寝れなかったりしていたそうです。




そんな怖がりのくろすけさんなので、「不思議な少年」も十分に怖い話だったようです。




この中の時を越えさまざまな時代に降り立つプラトンの話を読んでいたときです。時刻は深夜3時を回った頃だったでしょうか。




突然、頭の上からカタカタカタ・・・とかすかな物音が聞こえてきたそうです。なんの音かと思って見上げると・・・

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