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忙しいが竹の子は待ってくれない。 [業務連絡]

竹の子狩りはキツネ狩り・虎狩りと並んで世界三代狩りと称されるものであり、狩りにおいては日本文化を代表するものだといわれている。これについては大造爺さんが

「わしゃあ、雁狩りで教科書まで載ったんじゃから、雁狩りを日本の狩りの代表にすべきじゃあねえか」

と抗議をしたのだが、雁狩り(かりかり)という響きが猫のドライフードを連想させることから適切ではないとの判断が国際狩り連盟日本支部によってなされたといわれている。

竹の子狩りは竹取の翁による「かぐや姫探し」とはまったく異なるものであるので注意しなければならない。竹の子狩りはあくまでも旬を楽しむために行うスポーツとしての狩りであり、一攫千金を狙うかぐや姫探しとはその精神の根本においてまったく異なっている。

竹の子を狩るということは、母竹がそばにいる危険性を常に考慮をしておかなければならない。母竹はたおやかではあるが、自分の子を守るためには労を厭わない。しかし、母竹の攻撃性は大変に弱い。最も多く繰り出される防御は「根っこクレードル」と呼ばれる技である。竹の子を自らの根で囲み、シャベルやスコップの攻撃から竹の子を己が体の一部を用いて守るのである。さらに「地下茎固め」をされると、竹の子に到達することはほぼ不可能である。

それでもなおかつ竹の子に迫ろうとすると、母竹は最期の攻撃を繰り出してくる。これは遠くから聞こえる鶯の声や竹の葉の間から漏れてくる柔らかな春の日差しを用いて、時間の感覚を狂わせるものである。この攻撃により、竹の子狩りを行っている人間は正確な時間を忘れ、気がついたら思ったよりも時間が経っており疲労が頂点に達してしまい、竹やぶから出ることができなくなる。竹やぶの中では時間は常に一定の速さで一定方向に流れているわけではなく、竹の総意に基づいて自在な流れとなっていることを忘れてはいけない。




…などと考えながら夢中で竹の子を掘りました。くろすけが用事をしている一時間くらいの間に八本。

掘りたてをちょっとかじってみたらかすかなえぐみと口に広がるさわやかな甘味。すごくおいしかったです。

最後に掘った竹の子はなかなか地下茎から外れなくてシャベルで思い切ってぎゅっと押しあげた瞬間、ロケットのように飛んでいって斜面をころころ転がり落ちていったので、

「竹の子、待てー、俺から逃れられると思っているのか!」

などどいいながら追いかけていたら、斜面を登ってくるくろすけと鉢合わせてものすごくびっくりしました。完全に竹やぶの中で時間やらくろすけも一緒に来ていたことなんかも忘れていたので。

くろすけも一本小さいのを掘って、お昼でも食べてから帰ろうか、と話していたのですが。やはり竹の子は掘ってすぐにあく抜きをするのがいいのでまっすぐ帰ってきました。四本はシャベルを借りたお礼にくろすけ実家に届けることにして、とりあえず5本をゆでることにしました。

DSC_0104.jpg

いやあ、掘りたての竹の子、本当においしいですね。柔らかで。

学校が始まって忙しい毎日ですが、竹の子はひまになるのを待ってくれないのでがんばって掘りに行きました。ちなみに、他人の土地に許可なく入っていって掘ったりはしていません。勝手に竹の子を掘るのは窃盗罪ですもんね。
posted by しの at nice!(1)  コメント(4) 
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