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ホットミルクとカレーパン [好き]

くろすけの新しい仕事が始まって、わたしが起きる時間にくろすけと話せなくなったのがちょっとさみしい今日この頃です。でも、そういう生活にも慣れつつあります。わたしはとりあえず、いくつか平行して進めていることが今週中に目処が立ちそうな感じなのでほっとします。それでも、それぞれの進め方についてちょっと考えたりしていたら急に不安になって、朝の5時半に目が覚めてしまいました。そのままベッドの中にいても仕方がないので起きることにしました。

今朝はとても寒くて、ガウンを着たままぼけっとしていて、気がついたら身体が冷え切っていました。春は寒くてもどこかに暖かさが感じられるものですが、今朝の冷え込みはこれから来る寒い季節を予感させるような秋の冷え込みみたいでした。4月になってもこんな冷え込みをするなんて、これはやっぱり温暖化の影響なんだろうか。北極や氷河からの氷が温暖化の影響でとけて海に流れ出し氷山の数が増え海流の流れに影響を及ぼし始めたのだろうか・・・なーんて難しいことは考えませんでした。

その冷たさに、ある夕方のことを思い出していました。

それはくろすけと二回目に一緒にいたときのことです。

もう10月も近くなってきて、朝夕には肌寒さが感じられるようになっていました。くろすけが休みだったその日は一日朝からベッドからほとんど出ないまま二人で過ごしていました。終わったあとの身体がしびれてしまうほどの幸福感と安心感に満たされて、手を上げることも寝返りをうつことも億劫でベッドのマットに沈んでいました。

でも、なんとなく二人の間で懸案になっていたものを買うために東急ハンズに行こうという話になりベッドから起き上がりました。けだるくて身体が重くていつまでも自堕落にくろすけに抱かれた余韻に浸ってそのままワインでも飲んでしまいたいくらい体が重いのに、起き上がると胸の真ん中にある幸福感が自分を持ち上げているようで奇妙に体がふわふわとしているような感じでした。

わたしは体にフィットする黒に黄色や赤や茶色で猫がプリントされた柄のレーヨンのカットソーを来てジーンズを穿いてくろすけと一緒に出かけました。玉川の土手をくろすけのバイクの後ろに乗って走ったとき、ちょうど黄昏時で、少し冷たい風を感じながらくろすけの腰に手を回していました。土手の上の道はかなりまっすぐで、なんだかこのまままっすぐ二人の夢の中でどこまでも黄昏時だけが繰り返される時空にいってしまいそうな奇妙な感覚がありました。

でも、まあ、そういう内田善美の「星の時計のリドル」的なことにはもちろんならないわけで、非常に現実的に二子玉川について駅前にさりげなく違法駐車をして買い物をして。そうして出てきたらガソリンが空になっていてバイクってリザーブタンクがあるからいいよね・・・みたいなことになったのでした。

そのあと、喫茶店にでも行こうかと話したのですが、こういうときに店を決めることができない二人はぐるぐると歩き回った挙句の果てにニコタマの駅のミスタードーナツに落ち着きました。わたしはカレーパンが好きなのでカレーパンと紅茶。くろすけはなんか甘そうなドーナツとホットミルク。向かい合って小さなテーブルに座っていて、ホットミルクの入ったカップを持つくろすけの指に見とれていました。

件の黒の猫プリントカットソーはいわゆるアシンメトリーカットになっていて油断をすると左肩がぽろっと出るようになっています。それを引き上げ引き上げしていたのですが、カレーパンのかりっとした外側と中のカレーのとろとろ具合のコントラストを楽しんでいるうちに肩のことをすっかり忘れていました。ふと気がつくとくろすけがわたしをじっと見ていて、その視線の先にぽろっと覗いている肩がありました。

それで、くろすけと目があったら、くろすけがゆっくりと笑顔になりました。そのときのくろすけはとてもきれいで優しい顔をしていて、秋の冷たさをむき出しになった左肩に感じながら、ごちゃごちゃとしていてなんだか床がビタビタとぬれている駅のターミナルの方向感覚のつかめない不安感の中に、やっぱり胸の真ん中の幸福感でけだるいようなふわふわするような感覚を味わっていました。
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コメント 7

葉の茶

くろすけさんは、しのさんの左肩を見ても笑顔で見ていられるなんて
大人だなぁ~。。。
そして、しのさんも慌てることなく冷静にくろすけさんの視線を受け止める
ことが出来るなんて、大人だぁ===。
自分に置き換えて考えて見たけど、どうも怪しげにニヤつく葉の茶しか
思いつかないんですけど。。
どんだけ、エロいんだって話ですが・・・汗。
でもって、多分、モモちゃんなら葉の茶のエロ視線に対してコラ~!
と怒りのパンチを入れることでしょう。。
by 葉の茶 (2008-04-08 23:49) 

くろすけ

そうそう、紐を使って縛るのは縛ること自体に芸術性を求めてしまうけど、「束縛という関係」に意味を求めるならやっぱり金属だよねーっていって、鎖を買いにいったんだよねv

すごく綺麗な夕焼けだった。
あんまり夕日にみとれてると多摩川におっこちそうだったから横目でしかみれなかったけど、僕もいまでも覚えてるよ。
by くろすけ (2008-04-09 00:12) 

くろすけ

あ、コメントに時間がかかっていたら葉の茶さんコメが・・!
笑顔・・どうなんでしょう。笑
僕って結構無表情なので、ニヤついててもニヤってみえないだけかも。^^;
by くろすけ (2008-04-09 00:17) 

しの

> 葉の茶さん

いや、くろすけは無表情なので普通に笑ったように見えていたのですが、きっと心の中ではヨダレだらだら、女だって狼なのよ、気をつけなさい~年頃になったら慎みなさい~♪って感じだったと思います。わたしは冷静というよりも、単に時差ぼけでボケボケになっていたのでした(笑)。

初めのころはエロエロ光線に対してグーでパンチって感じでした。でも最近は、うらうら~ってもっとみせて苦しめるのが趣味です(爆)。
by しの (2008-04-09 00:58) 

しの

> くろすけ

まあ、そういう会話もしたねえ…(遠い目)。紐で縛るのは縛るという行為が目的になって、そこに存在する女性は単に肉体っていうものになってしまう…とかね。そこにある精神も含めて束縛したいっていう実現不可能な欲望を「遊び」として具現化するなら「縛る」という行為が注目される紐じゃなくて、拘束する力を持つ金属の冷たさをお互いが感じることが重要なんじゃないか、なーんて話していましたな。笑。いやあ、あのころはエッチひとつとっても真剣だったよねえ。いつからお笑い路線に変わったんだっけ?

あのときの夕日と、城ヶ島の満月。本当にきれいだった。
by しの (2008-04-09 01:03) 

asami

いいですねぇ。
ニヤついても優しい顔にみえたらいいよなぁ。じゃなくって。笑

新生活、すれ違いが増えるかもしれませんが、くろすけさんの待遇改善はいいですよね。やっぱり。
by asami (2008-04-09 02:03) 

しの

> asamiさん

ニヤついててもやさしく見えるのは無表情の人の特権なのかな。

くろすけの環境が良くなってわたしとしても本当にうれしいです。能力のある人がそれを発揮する場を与えられるっていうのはありそうでなかなかないチャンスなので。

で、今の生活のリズムはわたしにとってもいいものだと思っています。朝に自分の時間があるとサクサクっといろんなことが済むので。それに鬱も一段落して早朝にパニックして目が覚める、ということもほとんどなくなってきたし。
by しの (2008-04-09 06:08) 

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